カブスクの銘柄ページに表示されるPER・PBR・自己資本比率・信用倍率の意味と、数値が低い/高いときに何が起きるかをリスク面まで丁寧に解説します。
前編ではローソク足や移動平均線などチャートの読み方を解説しました。後編では、カブスクの銘柄ページで価格のすぐ下に並んでいる時価総額・信用倍率・PER・PBR・自己資本比率という5つの数値について、単なる用語の意味だけでなく「数値が低い(高い)とき、実際に何が起きうるか」まで踏み込んで解説します。
PER = 株価 ÷ 1株あたり利益(EPS)。株価が「1株あたり利益」の何倍まで買われているかを示す指標で、数値が低いほど、企業が稼ぐ利益に対して株価が割安と一般に言われます。
注意したいのは、PERの適正水準は業種によって大きく異なることです。成長期待の大きいIT・グロース業種は高PERが許容されやすく、成熟した業種は低PERが標準ということも珍しくありません。同業種内での比較や、その企業自身の過去の水準との比較が基本になります。
また、PERが極端に低い銘柄は「割安で放置されている掘り出し物」とは限りません。市場が「今後利益が急激に落ち込む」と織り込んでいるために株価(分母となる利益に対して)が低く抑えられているケースもあります。PERだけを見て「安いから買い」と判断せず、後述の自己資本比率や、決算内容・業種の状況もあわせて確認することが大切です。
PBR = 株価 ÷ 1株あたり純資産(BPS)。株価が「1株あたり純資産」の何倍かを示す指標です。PBR1倍は、理論上「企業を今すぐ解散して資産を株主に分配した場合の価値(解散価値・企業価値の目安の一つ)」と株価が一致する水準にあたり、1倍を下回っている状態は株価が解散価値を下回っていることを意味します。
PBRが1倍を大きく割り込んだまま何年も放置されている銘柄は、収益性の低さ(稼ぐ力が乏しいために資産の価値を市場が評価していない)が理由であることが多く、割安の裏に業績面の弱さが隠れていないか確認する必要があります。
自己資本比率は、会社の総資産のうち「返済不要のお金(自己資本)」がどれくらいの割合を占めるかを示す指標です。残りは借入金などの「他人資本」にあたります。
自己資本比率が低い会社は、事業を借入(他人資本)に大きく依存している状態です。これ自体が直接株価の値動きを激しくするわけではありませんが、財務の安全域が薄いため、業績悪化や金利上昇といった逆風が一つ起きただけで「この会社は大丈夫か」という不安が投資家の間に広がりやすく、材料に対して株価が過敏に反応しがちです。結果として、自己資本比率が低い銘柄は値動き(ボラティリティ)が大きくなる傾向があります。
自己資本比率の低下がさらに進み、自己資本そのものがマイナスになる状態を債務超過と呼びます。東京証券取引所には、最終事業年度末で債務超過となり、その状態が1年以内に解消されない場合に上場廃止基準に抵触しうるという規定があります。一般的な流れは次のとおりです。
カブスクの銘柄ページでは、この状態にある銘柄を実際に警告バッジで表示しています。監理銘柄(審査中)は「⚠️ 注意銘柄」、整理銘柄(上場廃止が正式決定した銘柄)は「⛔ 上場廃止決定」と表示され、指定日も併記されます。自己資本比率が極端に低い銘柄に投資する際は、この表示が出ていないかも必ず確認してください。
自己資本比率が高くROEも一定以上ある銘柄を探したい場合は、売られ過ぎ優良株(自己資本比率40%以上)やキャッシュリッチ低PBR(自己資本比率60%以上)のようなスクリーナーで財務健全性の条件をあらかじめ絞り込んでおくと、こうしたリスクを避けやすくなります。
信用倍率は、信用取引の「買い残(将来売られる予定の株数)」を「売り残(将来買い戻される予定の株数)」で割った数値です。
信用倍率が極端に高い、あるいは極端に低い銘柄は、需給が一方向に偏っているため、何かのきっかけで急に信用倍率が変化する「踏み上げ」のような、思惑的で荒い値動きが起きやすい点にも注意が必要です。
PER・PBRは株価の「割安さ」の目安、自己資本比率は「財務の安全性」、信用倍率は「需給の偏り」を表す指標です。どれか1つだけで判断せず、特に自己資本比率が低い銘柄については、監理銘柄・整理銘柄に該当していないかをカブスクの銘柄ページで必ず確認する習慣をつけてください。