1月効果・セル・イン・メイ・ハロウィン効果など、株の月別アノマリーを過去10年の日本株全銘柄データで検証しました。稼げる月・稼ぎにくい月を棒グラフで解説します。
「1月は中小型株が強い」「9月は弱い(セプテンバー・エフェクト)」「10月末に買って4月末に売れば勝てる(ハロウィン効果)」——株の世界では月別・時期別のアノマリー(経験則)がよく語られます。前回に続き、今回は月別アノマリーを過去10年(2016年〜)の日本株全銘柄データで検証しました。
流動性のある銘柄(平均出来高3万株以上・株価100円以上)の日次リターンを等金額で平均し、疑似的な「市場平均」を作って検証しています。個別銘柄の当たり外れではなく、市場全体としての季節性を見ることが目的です。
過去10年、各月の平均リターンと「その月がプラスだった年の割合」です。
「稼げる月」は11月(+2.72%、プラスの年90%)と6月(+2.71%、80%)。次いで8月(+2.42%)・9月(+2.07%)・1月(+1.76%)も好調です。「稼ぎにくい月」は10月(-0.13%、プラスの年40%)が唯一のマイナスで、7月(+0.56%)・12月(+0.30%)も勢いは弱めです。
ここでよく語られる通説と食い違う点が2つあります。
一方、10月だけが明確に警戒すべき月という点、1月・11月が歴史的に強い月という点は、実際のデータでも支持されました。
「10月末(ハロウィン)に買って、翌年4月末に売れば勝てる」というのは、株の世界で最も有名なアノマリーの一つで、「過去20年のデータでも圧倒的に勝率が高い」とまで言われることもあります。実際に検証してみました。2016〜2025年の10回について、11月〜4月(冬)と5月〜10月(夏)の累積リターンを比較しています。
結果は「圧倒的」どころか、むしろ逆でした。
| 期間 | 平均リターン | 上回った年 |
|---|---|---|
| 冬(11月〜翌4月) | +7.05% | 5 / 10年 |
| 夏(5月〜10月) | +9.38% | 5 / 10年 |
冬が夏を上回ったのはちょうど半分の5年。平均リターンはむしろ夏の方が高く、「10月末に買えば圧倒的に勝てる」という主張は今回のデータでは確認できませんでした。 前章の通り10月単体は確かに弱い月ですが、そこから半年保有する戦略全体として見ると、優位性があるとは言えない結果です。
「大発会からの5営業日の値動きがその年を占う」という説も検証しました。2016〜2026年の11回のうち、最初の5営業日がプラスだった年(8回)は、その後年間を通じてもプラスで終わった割合が87.5%でした。
一見高く見えますが、**そもそも検証期間中は年間プラスで終わった年が11回中10回(90.9%)**あり、最初の5営業日を見なくても「今年もプラスで終わるだろう」という予想の方が的中率が高いという結果でした。相場全体が右肩上がりの期間だったため、この指標自体に情報価値があるとは言えません。
「1月は前年末に売られた中小型株が反発しやすい」という1月効果は、現在の時価総額で上位25%(大型株)・下位25%(小型株)に分けて検証しました(2010年前後の実際の時価総額ではなく現在の分類での近似です)。
10年間の平均で、小型株+2.92%に対し大型株+1.26%と、小型株が上回りました。7/10年で小型株が優位でしたが、2022年は小型株の方が-7.7pt大きく下げるなど、単に小型株はボラティリティが高いだけという側面も混ざっています。方向性としては1月効果を支持する結果ですが、ボラティリティの影響と完全に切り分けられているわけではありません。
「節分天井」「彼岸底」「45日ルール」「ETF分配金売り」「RSI30以下からの反転やローソク足での押し目確認」といった、特定の日付やテクニカル指標を組み合わせた、より細かい経験則もよく語られます。これらは月単位のデータでは検証できない粒度のため、今回は検証対象にしていません。そう語られている、という紹介にとどめ、根拠として断定はしません。
月別の傾向はあくまで過去10年の平均であり、個別の年・個別銘柄がその通りになる保証はありません。本記事は情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断は自己責任で行ってください。