VCP-JPスクリーナーが進化 ─ 過去10年のデータで見つけた「高精度シグナル」を追加

VCP-JPスクリーナーに、過去10年の日本株データで検証した「高精度シグナル」バッジを追加しました。バックテストの数字と使い方を解説します。

VCP-JPスクリーナーに、ブレイクアウトの中でも特に値上がりが期待できる銘柄を見分ける**「高精度シグナル」バッジ**を追加しました。過去10年分の日本株全銘柄のデータでバックテストを行い、ボラティリティの見せかけではない「本物のリフト」が確認できた条件だけを反映しています。この記事では、検証の経緯と実際の数字、使い方を解説します。

1. きっかけ ─ 「勝てそうな条件」のほとんどは見せかけだった

きっかけは「MACDがゴールデンクロスした銘柄はその後どれくらい上がるのか」「ローソク足の包み足パターンは効くのか」といった、よく語られる経験則を実際のデータで確かめてみたことでした。2016年〜現在の日本株全銘柄・日足データ(分割調整済み)を使い、train(〜2021年)/validation(2022〜2024年)/holdout(2025年〜、検証に一切使わない完全フレッシュな期間)の3期間に分けて、翌営業日の始値でエントリーする厳密な方法で検証しました。

結果、包み足・MACDゴールデンクロス・MACDの傾き(角度)といった条件は、単体では株価のその後の値動きとほとんど関係がありませんでした。一見「勝率が高い」ように見えた条件も、値幅リスク(ATR)を揃えて判定し直すと順位が入れ替わってしまうケースが多く、その多くは「ボラティリティが高い銘柄がたまたま目標値に早く届きやすいだけ」という見せかけでした。

その中で唯一、ボラティリティの違いでは説明できない安定したリフトが確認できたのが、VCP(ボラティリティ収縮パターン)のブレイクアウトに、さらに2つの条件を足したものでした。

2. 見つかった条件と検証結果

追加したのは次の2条件です。

  • ブレイク当日の上昇率が強い(検証データの上位25%、目安として前日比+6.5%以上)
  • 直近の値動きが事前にしっかり収縮していた(直近10日の値動きの荒さが、直近1年の値動きの荒さの下位25%、目安として1年平均の約3割以下)

この2条件を満たすVCPブレイクを「高精度シグナル」として、60営業日(約3ヶ月)以内に+20%以上上昇する確率を、条件なし(流動性フィルタのみ)のベースラインと比較しました。

期間 ベースライン(条件なし) 高精度シグナル 差
train(2016〜2021年) 26.6% 31.8% +5.2pt
validation(2022〜2024年) 24.6% 26.2% +1.6pt
holdout(2025年〜) 24.9% 39.7% +14.8pt
<title>高精度シグナルはholdout期間で+14.8ptの上乗せ、ボラティリティ調整後も安定</title> train validation holdout 26.6% 31.8% 24.6% 26.2% 24.9% 39.7% ベースライン 高精度シグナル

train・validation・holdoutの3期間を通して一貫してベースラインを上回っており、特に検証に一切使っていないholdout期間で最も差が開いています(+14.8pt)。値幅リスクを揃えたATR基準の判定でもこの結果なので、単にボラの高い銘柄が混ざっているだけの見せかけではないと判断しました。シグナルの頻度は1日あたり1〜2件程度で、実用的な件数に収まっています。

3. 使い方

条件設定は不要です。VCP-JPスクリーナーを開いてスクリーニングを実行すると、通常通りVCP候補が複合スコアでランキング表示されます。このうち先ほどの2条件を満たした銘柄には、評価ラベルの横に**「高精度シグナル」バッジ**が表示されます。

  1. VCP-JPスクリーナーを開く
  2. 結果一覧で「高精度シグナル」バッジが付いた銘柄を優先的にチェックする
  3. 個別銘柄ページでチャート・出来高・材料ニュースを確認してから判断する

バッジは既存のスコア・ランキングを置き換えるものではなく、あくまで追加の目印です。バッジが付いていない銘柄が劣っているという意味ではありません。

4. 使ううえでの注意点

  • この検証は、実際のVCP-JPスクリーナーが使っているミネルヴィニ式の精緻な収縮パターン判定そのものではなく、簡易的な条件(値幅の収縮率・当日の上昇率)で行ったものです。バッジの実際の的中率が本文中の数字と完全に一致するとは限りません
  • 検証は現在上場している銘柄が対象です。過去10年の間に上場廃止となった銘柄は含まれていないため、実際の成功率はやや低めに出ている可能性があります
  • 「60営業日以内に+20%」に届かなかった場合でも、下落しているとは限りません(届かず・下落・小幅上昇のいずれもあり得ます)
  • 本記事は情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断は自己責任で行ってください

まとめ

包み足・MACDゴールデンクロス・MACDの傾きなど、よく語られる経験則の多くは過去10年の実データでは根拠が確認できませんでした。その中で唯一残った「VCPブレイク+当日の強い上昇率+事前のボラティリティ収縮」という条件を、VCP-JPスクリーナーに「高精度シグナル」バッジとして反映しています。バッジ自体を鵜呑みにせず、個別銘柄の材料やチャートと合わせて判断材料の一つとして活用してください。VCPの基本的な考え方はVCP-JPスクリーナーのページ内解説もあわせてご覧ください。